日本料理(特に吸い物)で使う鰹節は、とても繊細に使われることが多く、削り節自体が良くないとすべてのバランスを台無しにしてしまいます。また、日本料理ならではの季節の素材の淡い香りを邪魔せず、味に奥行きを出すことを求められます。そこで、弊社では下記のものを良い鰹の削り節(花かつお)の基準として、目利きをし、加工して(削って)おります。
・酸味がないもの
・雑味がないもの
・にごりのないもの
・コクのあるもの
鰹節は、サバ、宗田、イワシなどの雑節に比べ、それぞれの魚種の中で品質のブレがとても少ないです。しかし、上品な味付けの料理に使用されることが多いので、少しの違いが大きな差となっています。この出汁がすべての料理の土台になるだけに重要で原料となる生の鰹や鰹節にした時の製造方法により、敏感に変わってしますので、これまた、生産者との情報交換が大切だと感じております。
荒節・・・通常、花かつおにする原料は荒節を使用します。特徴といたしまして、花だちが良く、見た目が良く削れます。洗ってから削りますがまだタール分がついているので燻臭が残っています。3週間ほどで出来上がってくる節なので枯節に比べると若々しい味と香りがします。
枯節・・・一方枯節は、節のタール分を削り、その上に優良カビをつけ干すことを繰り返して枯らしたものです。完成までに少なくとも6ヶ月位かかります。優良カビをつけ ることにより、魚臭さが抜け、味と香りがマイルドになり上品になっています。しかし、そのカビが節の繊維が壊され、削ると粉っぽくなります。
花かつおの原料の荒節から血合を取り除いたものが血合い抜きの原料です。表面のタール分を取り除いたものと残したものがありますが、弊社では、より上品な前者の表面削りしたものだけをご用意しております。
鰹の削り節(イノシン酸)と昆布(グルタミン酸)の相乗効果は、良く知られているところですが、その効果はうまく合わさると8倍もあると言われています。昆布は、同じ北海道でも産地により特徴が異なります。弊社では、上品な出汁をひきたい時には利尻昆布(最高級の浜とされる礼文島の香深を中心に揃えてあります。)や、真昆布(一番良いとされる尾札部の物を中心に揃えてあります。)をおススメしています。味が濃く、うま味も強く求められる方には、グルタミン酸(うまみ成分)の多いラウス昆布をおススメしております。また日高昆布は、料理としての食べる昆布としても適しております。
味だけではなく、香り、色味も料理の一部として評価される和食は、素材選びから料理が始まっています。
鰹節問屋の立場を生かして、生産者とともに磨いてきた鰹節は、季節の淡い香りを活かす雑味のないものから、しっかりとした味やコクが求められるものなど、様々な料理に合う様に各種取り扱っております。また、鰹節で鍛えた目利きで選んだまぐろ節(血合抜き)は、色が薄く甘みのある品の良い出汁がとれるので、ぜひお吸い物で違いを比べてください。昆布は水だし、煮出し、昆布締めなど使い方次第で旨味の出方も変わります。ラウス、利尻、真昆布など種類・サイズ・等級を豊富に揃えておりますのでぜひご相談ください。
弊社が特許と登録商標を取得しておりますアクトリーと粉砕出汁を使っていただくと、出汁の旨味はそのままに時短と毎日ブレのない味を保つことができます。また、削り、粉砕、魚種のブレンドなどをこちらでしました出汁パックは片付けまでも楽になるので、空いた時間で新しいメニュー開発や社内のコミュニケーションのお時間にしていただければ本望です。
割烹 藤の家 / 藤村 浩司 様
削りの件ですが、私の店には化学調味料は置いていません。割烹料理として、切て煮るという仕事を具現化したくて独立しました。その中で、昆布と削りは和食の基本でもあり、命です。化学調味料を使わないとすれば、昆布と削りは妥協する訳にはいきませんでした。
東京と違い、葉山という場所から、仕入れには本当に苦労しました。削りに関しても三浦から藤沢まで4軒ほど探しました。しかし、納得のいくものに出合えず、仕方なく東京からと考えていました。そして最後に丸眞さんに伺いました。そして、対応して下さった専務さんに最初に見せていただいた削は「これは、使えません!」と言ってしまいました。今考えれば、随分失礼な言い方だったと反省しております。ただそれだけ真剣だったのです。そして現在の削りを出してもらっているのですが、素晴らしいです。酸味や雑味が無く、良い出汁が引けます。ダシが良いので、あたりもつけやすく、イメージ通りの仕事ができます。削りの良さに負けない仕事をと心がけています。
出合えた事に感謝しています。これからもどうぞ宜しくお願いします。